あいさつにおける細かい技術というものは、訓練しておかなければなりません。
おじぎの仕方は、上体を三十度傾けるのがいちばんいいと知っていても、その場で何度と、はかるわけにはいかないのですから、いざ応対するとき、自然にできるように、日ごろから練習しておく必要があります。
電話で会社の場所を聞かれたときに、改めて考えているようではだめで、手際よく説明できなくてはなりません。
応対用語は、その場その場で、よどみなくいえるようにしておくことが肝心です。
しかし、こういう慣れが、思わぬ落とし穴になることがあります。
それは技術的な慣れが、こころにまで及んで、自分では完壁な応対をしているつもりで、じつは、まるでこころのこもらぬ機械的な応対になってしまうことです。
よく訓練された受付嬢とか秘書課の女性などに、ときおり、このタイプがみられます。
大橋直久