開花時期は暖地ほど早く、6月上旬に咲き始めるが、東北地方では7月にはいってからになり、朝の最低気温が一七℃以上になると咲き始めるところが多いようである。
次々に樹冠いっぱい花をつけ、緑色から紫、そして紅色になり、初夏の庭にあでやかな色彩を添えるが、8月末には咲き終わり、しだいに色あせて首をかしげ、いつまでも残っている。
この花はがく片の集まりで、花弁は退化しており、雄ずい、雌ずいもほとんどないので実を結ばない。
アジサイの花芽分化は10月上旬以後に始まる。
今年伸び出した元気のよい新梢の先端か、これに近い数芽が翌年の花芽になり、葉芽に比べてずっと大きいのでよくわかる。
花芽のつき方は必ずしも規則的でなく、開花枝はそのままにしておくと衰弱して翌年の花つきは悪くなるが咲かないわけではない。
返り咲きをする性質があるので、どうかすると秋も終わりのころに一花二花咲かせ、11月にはいると落葉して花だけが乾燥花のようになって枝上に残る。
大橋直久