そもそも・すみません・は謝罪の言葉である。
人に依頼をするとき、あるいは感謝の気持ちを伝えるときに使う言葉ではない。
言葉づかいの権威と言われるコンサルタントのなかには、「すみません」という言葉はどこにでも使えて、便利な言葉だし、相手をよい気持ちにさせる言葉であるから、謝罪言葉であることにあまりこだわらず、積極的に用いてもよいという人がいる。
最近は人に何かしてもらっても、「ありがとう」どころか「すみません」という言葉さえ言わない人が多いのだから、一面ではこの意見も理解できる。
しかし、何でも「すみません」の言葉一つで済ませてしまうのは、語彙が貧困と言われても仕方がない。
文字どおり「すみません」では「済まない」のである。
大橋直久