気候や地形から形成される一定の地域の自然の状態を意味する。
さらに発展してこの自然の状態がつくりだす人々の生活様式や人生観・社会観をも含むこともある。
ただしそうした要素は逆にその地域の人々の基盤である自然の状態をも規定することになる。
したがって風土ということばは、人生観とか自然観といった観念形態と自然の状態とが相互に規定しあって、混然一体となった世界になっている状態を指している。
だからある地域の人々の生き方や考え方に重点を置いて風土ということばを使う場合、精神的風土といったいい方がされるが、これは個々人が表明した思想を意味するのではなく、そうした考え方を生みだす、精神的雰囲気とか、集団に共通する感情(エートス)を指していることが多い。
つまり自然環境と分ちがたく結びついていて、意識するしないにかかわらず、底流に流れている感情を指すことも多い。
またその感情はまた逆に自然の状態にも反映されるようにもなる。
大橋直久