人の一生で一つの段階から次の段階へと移る重要な時期に行われる儀式のことをいう。
これは親や育てる側が子どもの成長に対してもつ願いや祈りの表現である。
通過儀礼は普通日本では、誕生から成人に至るまでの出生儀礼、成人期での婚姻儀礼、死者への葬送儀礼、年中行事、農耕儀礼を含む祖霊化儀礼などがある。
こうした一連の通過儀礼は、その対象となる一個人の人生だけではなく、その儀礼を共通に行っている共同体(集団)の子孫や家の存続と繁栄が祈りの内容となる。
このようにして通過儀礼は、個人をこえて共同体全員のための社会儀礼としての性格をもつことになる。
それゆえ通過儀礼は個人には成長の節目を意味するとともに共同体員の社会連帯の紐ともなる。
大橋直久