業界の偉い人の意見だからといっても、大企業と中小、老舗と新興企業では事情がちがう。
自社の規模とか特殊性、立場のちがいを考えてみなければ、大失敗にもつながる。
仏像をして「後光がなければただの人」と言った人がいるが、たしかに、社長とか学者、専門家といった肩書をはずし、相手を裸にしてその意見を考えてみるのも一法なのだ。
思わずニヤリとさせられないだろうか。
じっさい、このブッシュマン哲学、経営者を集めた講演会などでなかなか好評なのである。
これを話すと、聴衆のみなさんはおおいに感心して、なかにはメモを取っていく人までいる。
言うまでもなくここに表われているのは、いままで私たち日本人が信奉してきた「労働こそ神聖なり」とする価値観とは正反対の、「人間、ムキになって働くことはないよ」という思想なのだが、これが近ごろ注目されているのだ。
おそらくこの名文句も十年まえだったら、だれも見むきもしなかったろう。
大橋直久