消費者意識の多様化に伴なって、商品の短命化が近年とみに早まっている。
ファッション性の高いものほど、その傾向は顕著であるが、ほとんどの商品にこの傾向は強まっているのである。
その原因は「大量生産」と「大量販売」という、トップ・メーカーの戦略が、自らつくり出した皮肉な結果といってよいであろう。
新製品を発売する時にはTV、ラジオ、新聞などを中心として、大宣伝を行なう。
CMがヒットすれば、アッという間に流行の商品になって、爆発的に売れることになる。
オートメ化された工場は、フル操業で生産に拍車をかけるだろう。
ところが、ひとたび流行の波が過ぎ去ってしまうと、パッタリと売れゆきが落ちて、在庫品の山が出てしまう。
いわゆる見込み生産の失敗による余剰在庫の処分に、メーカーや問屋は頭を痛めることになるのである。
これとは反対に、商品化してはみたものの、その工場の最低生産ロットに売上げが達しない場合もあり得る。
採算分岐点に達しない場合、思い切って生産を中止するか、あるいは操業短縮に踏み切るか、でなければ投げ売りに走らざるを得ない状況も、起こり得るわけである。
ここにも通常の物流ルートに乗らない、あるいは乗せられない性質の商品があり、安売り問屋が活躍する舞台があるわけだ。
大橋直久